美の発見
目の前の美に気づいていない人はかなり多い。審美眼は教育と環境によって鍛えられ、変化し続ける。この美を発見するためには無防備で身構えていない、人が生まれたばかりのような純粋で清澄な心の目で見ることが大切。人が死と向かい合った時、生について強く感じる機会を得る。その時はもしかしたらより自然が美しく感じるのではないだろうか。そして、普段からよく観察し、発見し、感じるように努める。観察力は絵を描く上で非常に重要な要素の1つである。
感性と理性
絵画はただしっかりと観察して、細かく細部まで表現して、写真みたいに描けばいいというわけではない。芸術は理屈じゃない。確かに、理性的な考え方は絵を描くことにおいてかなり重要だ。理性的に分析し、描写する力がないと何を描いたか、何を表現したいのか分からなくなるだろう。ただ、より一歩踏み込んだ芸術を表現するためには自分の脳の空間にこの理性的な考え方だけでなく、感性的な考え方の余裕を作る必要がある。感性的な考え方とは、自分が感じた感覚を右脳を使い表現するということ。この考え方を持っている時は、頭の中は無の状態で、筆に心が乗り移る感覚だ。つまりは左脳と右脳を同時に使い描く。普通、人間は両方の脳を同時に使う習慣がない。もし、両方を同時に使えるようになった時、より一歩踏み込んだ芸術を生み出せるだろう。
内容と技術
絵画において内容はとても重要だ。そこで内容と密接している関係である構図をよく考えると良い。簡単に言うならば内容はその人の考え方や頭の中の構造のようなもので、技術は内容を伝えるための手段である言語だ。内容や構図はその絵の物語を語る。そして、その物語をうまく表現するために言語がある。物語がある絵は、見る者を惹きつけ考えさせるだろう。内容のない絵は商品のようなもので、芸術とはほど遠いだろう。
文 東 俊達(新潟国際藝術学院)
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